せかいの むかしばなし だいにわ
ジャックと まめの き
じゃっくと まめの き
S C R O L Lちいさな いえ
むかし むかし、ちいさな いえに、ジャックと おかあさんが すんで いました。
いえには たべるものが なく、のこって いるのは、やせた うしが いっとう だけ。
ある あさ、おかあさんは ためいきを つきました。「ジャック、うしを まちへ つれて いって、だれかに うって きて おくれ。」
まほうの まめ
まちへ むかう みちの とちゅう、ジャックは ひとりの ふしぎな おじいさんに であいました。
「その うしを わたしに ゆずって くれないか。かわりに、この まめを あげよう。ただの まめでは ないよ。」
てのひらに のった まめは、ほんのり あおく ひかって いました。ジャックは こくりと うなずき、うしを わたしました。
おかあさんの なみだ
ジャックが いえに かえり、まめを みせると、おかあさんは とても かなしみました。
「ああ、ジャック。あしたの たべものも ないのに、まめ みっつと うしを とりかえて きたのかい。」
おかあさんは そう いうと、まめを まどの そとへ ぽいっと なげすてました。その よる、ふたりは ゆうごはんも たべずに ねむりました。
ふたりが ぐっすり ねむって いる あいだに、まどの したでは ふしぎな ことが おきて いました。
あおい ひかりが そっと つちの なかから さしこみ、ちいさな めが にょきり。
ぐんぐん、ぐんぐん、まめの くきは そらに むかって のびて いきます。
あさ、ジャックが まどを あけると——
てんまで とどく き
まどの そとに あったのは、てんまで とどく おおきな まめの き。
みきは ふとく、はっぱは とても おおきく、くもの うえまで つづいて います。
ジャックは むねが どきどき しました。「よし。のぼって、うえには なにが あるか、たしかめて みよう。」
ジャックは みきに つかまり、いっぽ、また いっぽと のぼりはじめました。
したを みると、いえが もう ちいさな はこ ぐらい。
ひくい くもを ぬけると、ふうっと つめたい かぜが ふきました。
もっと うえへ、もっと うえへ。
そして ついに、くもの うえの しろい だいちに ジャックは たどりつきました。
くもの うえの せかい
くもの うえは、どこまでも しろい だいち。
とおくに みえる のは、ジャックが いままで みた ことも ない、とてつもなく おおきな しろ。
「きょじんの すみかだろうか」と ジャックは そっと しろに ちかづいて いきました。
きょじんの おくさん
しろの おおきな とびらを そっと あけると、なかには やさしそうな かおの きょじんの おくさんが いました。
「あら、かわいい にんげんの こ。うちの ひとは にんげんが だいすきだから、みつかると たいへん。ほら、こっちに おかくれなさい。」
おくさんは ジャックを おおきな おなべの なかに そっと かくして くれました。
きょじんの あしおと
とつぜん、とおくから ずしん、ずしん、と おもたい あしおと。
とびらが どーんと ひらき、かおを まっかにした きょじんが はいって きました。
「ふんふん、ふんふん。」
「にんげんの においが するぞ——」
きんの たからもの
きょじんは ゆっくりと いすに すわり、まほうの めんどりを つれて きました。
「めんどりさん、きんの たまごを。」「こけっ」——ぽろん、と きらきら ひかる きんの たまごが。
きょじんが いねむりを はじめると、ジャックは そおっと なべから ぬけだし、めんどりを かかえ、そばに あった まほうの ハープも そっと つかみました。
はーぷの さけびごえ
ジャックが いりぐちへ はしりだした そのとき、
うでの なかの まほうの ハープが とつぜん おおきな こえで うたいだしました。
「ご しゅじんさま、おきて ください——!」
きょじんは がばっと めを さまし、おいかけて きました。
ジャックは いっきに まめの きへ かけより、するする すると おりはじめました。
うえからは、きょじんの ずしん、ずしんと いう あしおと。
くもの きれめを ぬけて、とおくに ちいさな いえが みえました。
もう すぐ。もう すぐ じめんだ。
ばっさりと
「おかあさん、おの を はやく!」
ジャックは すぐさま くきに おのを ふりあげました。
ばっさり。
ばっさり。
ばっさりー!
まめの きが、おおきく かたむいて いきます。
おおきな おと
まめの きは、みしみしと たおれて いきました。
きょじんも そらから おおきな おとと ともに おちて しまい、にんげんの せかいに ふたたび もどって くる ことは ありませんでした。
ジャックと おかあさんは、ほっと むねを なでおろしました。
しあわせな なかま
きんの たまごを うむ めんどりの おかげで、ジャックと おかあさんは もう まずしい くらしを しなくて よく なりました。
まほうの ハープは、まいばん やさしい こもりうたを うたって くれました。
ジャックは おとなに なっても、そらを みあげると、くもの うえの せかいを ときどき おもいだしました。
おわり ← ポータルへ戻る